成人式用の振袖は小物の数が多いので、「浴衣や着物のように自分で着付けできるの?」と疑問に思う方は多いでしょう。

結論を述べると、正しい方法や手順を守れば自分で振袖を着付けることも可能です。

ただ、慣れていないと手間や時間がかかったり、着崩れたりする原因となるので、自分で着付けるなら準備や練習を重ねましょう。

今回は成人式の振袖を自分で着付けるときの手順と、難しいと思った場合の対処法を紹介します。

成人式の振袖を自分で着付けるときの手順

成人式の振袖をきれいに着付けるには、正しい方法と手順をマスターする必要があります。

ここでは振袖を着付ける準備を含め、着付け方の正しい手順を5つのステップに分けて説明します。

着付け前の準備

振袖を着付ける前に、着付けに必要なものが全てそろっているか確認します。着付けに必要なものは以下の通りです。

振袖

未婚女性がフォーマルな場面で着用する、長い袖が特徴の華やかな着物

袋帯

振袖を体に固定するもの

帯締め

帯の上から結んで帯を固定するためのもの

帯揚げ

帯の形をきれいにキープするためのもの

伊達衿

着物を2枚重ねているように見せるためのもの

和装下着

着物など和装用の下着

肌襦袢

肌の上に直接着るもの
汗を吸収する役割がある

裾よけ

振袖の下に着るインナーのこと

長襦袢

和装下着や肌襦袢の上に着用するもの
汗を吸収する役割がある

半衿

長襦袢に縫い付けて使用する衿
メイクや皮脂汚れを防ぐ

衿芯

長襦袢の衿の中に差し込むもの
衿をきれいに整える役割がある

タオル

振袖の補正に使用するもの

足袋

草履を履くときに着用するもの

腰紐

着物が開かないように使用するもの

伊達締め

長襦袢や着物の上から締めて着崩れを防ぐもの

前板

帯の内側に挟んで前帯のしわを防ぐもの

後板

後ろ結び時、背中側の帯に挟んで土台を作り、帯を固定させるもの

帯枕

二重太鼓結びや飾り結びなどでボリュームを出すときに使うもの

三重仮紐

袋帯の帯結びを華やかにするために使うもの

 

以上が基本となる着付け小物です。不足している場合は買い足すか、レンタルして準備しておきましょう。

和装下着や肌着、足袋を着用する

まず、和装下着を身に着けます。洋装下着は体の凹凸が強調される仕組みになっているため、寸胴に見せる必要がある振袖の場合は和装下着を着用するのが基本です。

次に足袋を履き、肌襦袢と裾よけを着用します。どちらも汗を吸収する役割があるため、吸湿速乾性のある生地を選ぶのがおすすめです。

この時点で、タオルを使って体が寸胴スタイルになるよう補正します。凹凸を解消すれば、振袖にしわが寄ったり、着崩れしたりするのを防ぐことができます。

長襦袢を着用する

次に長襦袢を着用しますが、事前に縫い付けた半襟の下に衿芯を通しておきます。衿芯がないと振袖の襟元をピンと立てることができなくなるので注意しましょう。

長襦袢を羽織ったら、両袖を軽く引っ張って背中の中心部に合わせます。ずれが生じていると着崩れが起こりやすいので、きちんと合わせることが大切です。

中心部を合わせたら、両手で衿を持ち、上方向に引き上げましょう。すると、うなじの部分が大きく開く(衣紋を抜く)ので、そのままの状態で前の衿合わせを整えます。

衿を整えたら、お腹に手のひらを当てて押さえながら、反対側の手で紐を取って結びます。結び目はアンダーバストの上の方に来るよう調整しましょう。

その後、紐を後ろで交差させてから再び前に持ってきて、蝶結びで固定します。

紐の下を引っ張って背中のしわや脇のたるみを伸ばしたら、伊達締めで固定します。

振袖を着る

振袖を羽織ったら、両方の衿を持って背中に空気を入れ、再び羽織り直します。その後、下前を左の腰元へ持ち上げて裾線を決めましょう。

下前の位置が決まったら上前も同じようにし、腰紐でしっかり固定します。裾線はくるぶしが隠れる程度を意識するのが理想です。

次に、身八つ口から手を入れ、背中の方から整えておはしょり(腰のあまり布)を作ります。上から下へ、手刀を切るようなイメージで整えていくのがコツです。

おはしょりを作ったら伊達締めで固定します。

帯を結ぶ

最後に帯を結びます。

帯の結び方には、お太鼓結びや立て矢結び、文庫結び、花結びなどいろいろな種類がありますが、ここでは定番の立て矢結びのやり方をご紹介します。

  1. 手先の長さを決める
  2. たれ先を三角に折り上げる
  3. 手先を上に一結びする
  4. たれを広げ、羽根の大きさを決める
  5. たれ先で羽根を作り、羽根の中心を取ったら、紐で固定する
  6. 帯揚げを結び、余った手先を帯の中に入れる
  7. 帯締めを結び、全体の形を整える

振袖を自分で着付けるのが難しいときは?

ここまで振袖を自分で着付ける方法をご紹介してきましたが、手順が分かっていたとしても、自分一人で着付けられるようになるにはかなりの練習が必要です。

特に難しいのは帯の結び方で、振袖の帯は浴衣の帯に比べると硬い上、帯幅が広いぶん、一人で結ぶのはかなり難しいと言われています。

実際、着付けのプロでも振袖の着付けは二人がかりで行うこともめずらしくありません。

自分で着付けるのは難しいと思ったら、無理をせず、他の方法で着付けることを検討しましょう。

ここでは振袖を自分で着付けるのが難しいと思ったときの対処法を3つご紹介します。

着付け教室に通う

着付け教室に通えば、プロの着付師から振袖の着付け方を丁寧にレクチャーしてもらえます。

振袖の基本的な着付け方だけでなく、着物のたたみ方や、着物を着用しているときの所作なども学べるため、振袖にふさわしい立ち居振る舞いを知りたいという方におすすめです。

プロに教わるので、短期間で効率良くマスターできるところが魅力ですが、コースに応じたレッスン料がかかるので、事前にレッスンの回数や費用について下調べしておきましょう。

なお、着付け教室のコースは、初心者向け、中級者向け、上級者向けなど複数に分かれています。初めて着付けを学ぶ方は初心者コースを選択し、基礎から学習していきましょう。

出張着付けサービスを利用する

出張着付けサービスとは、着付師が自宅を訪問し、着物を着付けてくれるサービスです。

わざわざ振袖を外に持っていったり、場所を移動したりする手間がないので、近場に着付けサービスを行っている場所がない方や、着付けの手間を省きたい方におすすめの方法です。

ただ、通常の着付け料金に出張手数料が上乗せされるため、費用は割高になります。

また、出張着付けサービスの中には、成人式当日の着付けに対応していないところもあるので、事前に対応の可否や、対応できる時間帯について問い合わせておきましょう。

家族や友人に手伝ってもらう

身近に着付けの経験がある家族や友人がいる場合は、サポートを依頼するのも一つの方法です。

他の方法に比べて費用を節約できるため、コストをかけずに着付けをしたいという方に適しているでしょう。

ただ、式典の日時によってはかなり早い時間帯から着付けなければならない場合もあります。

家族や友人に迷惑がかからないよう、早めにスケジュールを確認しておきましょう。

振袖専門店に依頼する

振袖の購入やレンタルに対応している専門店の中には、ママ振など持ち込み着付けに対応しているところもあります。

振袖専門店には振袖や着付けに詳しいスタッフが常駐しているため、着付けを依頼できるのはもちろん、ヘアメイクや前撮り、サイズ調整、クリーニングなどの相談にも乗ってもらえるのも魅力です。

合わせて前撮り撮影なども依頼することができるので、着付けから撮影まで丸ごと任せたいという方は振袖専門店に依頼することをおすすめします。

 

成人式の振袖は自分でやってもOK!難しいと思ったらプロに依頼しよう

成人式の振袖は、やり方や手順をしっかり覚えられれば、自分で着付けることも可能です。

ただ、一般的な着物や浴衣に比べると着付けの難易度が高いため、自分一人で上手に着付けられるようになるまでにはかなりの練習を積まなければなりません。

成人式まで時間がない場合や、練習の時間がなかなか取れないという場合は、着付け教室に通う、振袖専門店に依頼するなど、プロの力を借りた方が良いでしょう。

特に振袖専門店なら、持ち込んだ振袖の調整やクリーニング、前撮り撮影の追加依頼なども行えるので、振袖の状態に不安がある方や、前撮りも考えている方にぴったりです。

振袖比較サイト「furimo(フリモ)」では、成人式用の振袖を購入・レンタルできるお店を全国600店以上紹介しています。

中には持ち込み振袖の着付けや調整に対応しているお店もあるので、自分で振袖の着付けが難しいと思ったら、ぜひfurimoを使って着付けサービスに対応しているお店を検索してみましょう。