「裄が足りない…」

「身幅が苦しい…」

 

──お母さんの振袖(ママ振)を着たいけれど、サイズが合わずに悩む母娘は少なくありません。

体型や身長が違えば、そのままでは着られないことも多いものです。

この記事では、お直し費用・納期・注意点・代替策までを、丁寧に解説します。

 

「着られないかも」と諦める前に、どんな方法があるのか一緒に確認していきましょう。

 

まずはチェック!ママ振を着てみて「あれ?」と思うのはこんなところ

せっかくお母様の振袖を着られるチャンス。

鏡の前で袖を通した瞬間に「わあ、素敵!」となることもあれば、

「…あれ、ちょっと違和感?」と思うこともあります。

そんな時に多いのが、この3つのポイントなんです。

 

① 裄(ゆき)丈が短かったり、長すぎたり

裄は、背中の真ん中から手首までの長さのこと。

短めだと手首がひょっこり顔を出して寒そうに見え、長めだと手の甲までかぶさって動きづらくなります。

昔の仕立ては今より少し短めに作られていることが多いので、母と娘で腕の長さが違うと、その差がくっきり出やすいんですね。

自宅で着てみる時は、自然に手を下ろした状態で袖口が手首の骨から1〜1.5cmくらい下が理想。

ぴったり合っていると、それだけで着姿がぐっと洗練されます。

 

もし少し短いだけなら、半衿や重ね衿に華やかな色を入れて視線を上に集める方法もありますよ。

 

② 身幅がぴったりじゃない

身幅が狭いと胸や腰まわりが窮屈で、歩くたびに着崩れしやすくなります。

逆に広すぎると、前身頃が余って帯まわりがふくらみ、すっきり見えません。

仕立てられた時代は今より華奢な体型が多く、現代の平均サイズと微妙にずれていることも珍しくないんです。

 

「帯がすぐ下がってきちゃう…」

なんて時も、実は身幅が原因のことも。

 

腰紐を締めた状態で、左右の前身頃が5cm以上重なっていれば安心。

重なりすぎても足りなすぎても、当日は動きにくさにつながります。

 

軽く余る程度なら、着付け時に腰紐や伊達締めで調整できます。

帯揚げや帯締めを高めの位置に結んで、視線を上に持っていくのもおすすめです。

 

③ 袖丈や裾の長さがしっくりこない

成人式の振袖といえば長い袖が魅力ですが、仕立てられた時代や流行で長さが違うことがあります。

袖丈が短めだとボリューム感が減り、長めだと椅子に座った時に床につきやすくなります。

裾丈も同じで、長すぎると階段や移動で踏んでしまい、短すぎると足袋や草履が目立ちすぎてしまうんです。

 

理想は、足袋を履いて立ったときに床から1.5〜2cmほど裾が浮いている状態。

これなら歩きやすく、見た目もすっきり。

少し長いだけならヒールのある草履で調整、短いなら腰紐の位置を下げるなど、小さな工夫でカバーできます。

 

まずはご自宅で、全身鏡の前に立って肩・袖・裾の位置をチェック。

気になる部分はスマホで撮っておくと、お店で相談する時にも役立ちます

お直しが必要かどうか、客観的に判断できますよ。

 

 

お直しの種類とだいたいの費用・期間の目安

「お直し」とひとことで言っても、どこを直すのか、どれくらい直すのかで費用や期間は変わってきます。

 

成人式までのスケジュールと相談しながら、早めに目安を知っておくと安心です。

ここでは、よくあるお直し内容とその目安をまとめてみました。

 

お直し内容 費用目安 納期目安
裄丈出し/詰め 7,000〜15,000円 2〜4週間
身幅調整 10,000〜20,000円 3〜6週間
袖丈調整 8,000〜12,000円 2〜3週間
裾丈調整 10,000〜18,000円 3〜6週間

 

あくまで目安なので、実際はお店や職人さんの技術、振袖の状態によって変わります。

たとえば

「思ったより布地の余りが少なくて、裄丈を出せるのはほんの数ミリ」

ということもあれば、

「柄合わせが必要で通常より時間がかかる」

というケースもあります。

 

成人式の1〜2か月前は依頼が集中しやすく、納期が延びることも。

特に年末年始をまたぐと、職人さんのお休みでさらに時間がかかることがあります。

「まだ先だから大丈夫」と思わずに、気になるところがあれば早めに相談しておくのがいちばん安心です。

 

お直しは振袖を美しく見せるための大事な準備。

ちょっとした調整で着心地や着姿がぐっと変わりますので、ぜひ余裕を持って進めてくださいね。

 

お直しの流れとタイムライン~「前撮り日」何か月前に動く?

お直しは時間がかかるため、前撮り日を基準に逆算して計画することが大切です。

前撮りを最終チェックの場とすることで、成人式当日は安心して本番を迎えられます。

 

おすすめの流れは以下の通りです。

① 前撮りの6〜8か月前:試着&寸法チェック

まずは母娘でママ振を広げ、実際に着付けてもらってサイズ感を確認します。
この時、スマホで全身と横・後ろ姿も撮影しておくと、後の比較がしやすくなります。

 

② 前撮りの5〜6か月前:お直し依頼

寸法直しは早めに依頼を。お盆や年末は職人が立て込み、通常より納期が延びることがあります。
早く依頼すれば、もし追加調整が必要になっても成人式までに間に合います。

 

③ 前撮りの2〜3か月前:小物合わせ&試着

半衿や帯、草履バッグなどを含めた全体コーディネートを確認。
お直し後の振袖でフィッティングし、動きやすさや着姿のバランスをチェックします。

 

④ 前撮り当日:最終チェック

この日が最終確認のチャンス。成人式本番と同じ髪型や小物で着付けをし、動きやすさや着崩れがないかを確認します。

気になる部分があれば、撮影後すぐに着付け師やお店に相談すると、成人式までに微調整できます。

 

お直しが難しいときでも安心!見た目を整える3つの工夫

中には、生地の長さが足りなかったり、柄の位置の関係で希望通りのお直しができないこともあります。

でも大丈夫。

そんなときは、仕立てを大きく変えなくても「見た目のバランス」を整える方法があります。

ここでは、私たちがお客様にご提案することの多い、3つの視覚的な工夫をご紹介します。

 

① 長襦袢や半衿で袖丈の違いをさりげなくカバー

袖丈が合わないと、どうしても目に入ってしまうもの。

でも、長襦袢の袖丈を振袖に合わせるだけでも不思議と違和感が和らぎます。

さらに、半衿や重ね衿に明るめの色や柄を選ぶと視線が自然と上半身に集まり、袖丈の短さや長さに目がいきにくくなります。

「今日は顔まわりを華やかに見せたいな」という日にもおすすめのテクニックです。

 

② 帯や帯揚げで身幅の余りをすっきり見せる

身幅が少し広めでも、帯結びの形や位置を工夫することで余り布を上手に隠せます。

帯揚げをふんわりと結んでボリュームを出したり、逆にシャープに整えてすっきり感を出すなど、雰囲気も変えられます。

プロの着付け師さんに

「身幅が少し余ってしまうんですが…」

と一言添えるだけで、体型や振袖に合わせた方法を提案してくれますよ。

 

③ ヒール草履で裾の長さを上手に調整

裾が長すぎて歩きにくいときは、3〜5cmほど高さのあるヒール草履が便利です。

逆に少し短い場合は、腰紐の位置を下げて裾を長く見せることも可能。

式典や撮影では長めに、二次会やお食事では動きやすい短めに、とシーンに合わせて調整するのも一つの方法です。

 

お直しをしなくても、こうした小さな工夫で着姿の印象は驚くほど変わります。

「この方法なら試してみたい」と思うものから、ぜひ取り入れてみてくださいね。

 

よくある質問Q&A(保証・キャンセル・汚れ対策など)

Q1. お直し後にサイズが合わなかったら?

多くのお店では、ほんの数ミリの再調整や軽い手直しであれば無料、もしくは割引で対応してくれることが多いです。

ただし、お店によってルールが違いますので、依頼前に「どこまで無料で直してもらえるのか」を確認しておくと安心。

成人式直前は混み合うため、早めのチェックと調整をおすすめします。

Q2. 汚れやシミがある場合は先にクリーニング?

はい。寸法直しよりも先に丸洗いやシミ抜きを行うことで、生地の状態を整え、仕立て作業がスムーズになります。

特に古いママ振は、長年たんすに眠っていたことで黄変や軽いカビが出ていることも。
仕立て前のクリーニングは生地を守るための大切な準備です。

Q3. キャンセルはできる?

作業が始まってしまうとキャンセル不可が一般的です。

見積もり段階で「いつまでなら取りやめられるか」を確認しておきましょう。
迷っている場合は、まずは袖や裄丈など部分的な直しから始め、仕上がりを見て追加する方法もあります。

 

まとめ:ママ振は“直して着る”ことで唯一無二の一着に

サイズが合わないママ振でも、早めの計画と適切なお直しで、美しく着こなすことができます。

直しが難しい場合も、視覚補正や小物使いで印象は大きく変えられます。

 

お母様が大切にしてきた振袖を、お嬢様が新たな形で受け継ぐ。

そのプロセス自体が、成人式の思い出の一部になります。

 

ぜひこの記事を参考に、あなたにぴったりの方法でママ振をよみがえらせてください。